ファイル喪失を防ぐエクセルのバックアップ機能|作成&解除方法解説

エクセルで重要なファイルを上書きしてしまい慌てたことはありませんか?エクセルにはこうした事態に備えるため、自動的にバックアップファイルを作成する機能があります。その機能を利用したバックアップ方法と復元の方法、さらにオンラインストレージを使ったファイル復元の方法も解説します。

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エクセルで重要なファイルを間違って上書きしてしまって、慌てたことはありませんか? また、そういうことがあっても慌てないように事前に準備しておきたいと考えている方も多いと思います。

エクセルにはこうした事態に備えるため、自動的にバックアップファイルを作成する機能が備わっています。その機能を利用したバックアップ方法と復元の方法と、さらに進化してオンラインストレージを使ったファイル復元の方法も解説します。

万が一の事態に備えておくために、適切な設定をしておきましょう。

1.エクセルファイルのバックアップが重要な3つの理由

1-1.削除と上書きの違い

操作ミスによって大切なファイルを失ってしまうというのは、誰しも心当たりがあることです。ミスによってファイルを失うパターンには「削除」と「上書き」があります。どちらも日常的に使う操作なのでおなじみですが、ファイル喪失という観点ではこの両者に大きな違いがあります。

削除というのは名前だけを見るとファイルが無くなってしまうように感じますが、実はハードディスクなど記憶スペース上にデータは残っています。ただそれを「削除したこと」にしているだけで、その後パソコンを利用しているうちに他のファイルが保存されるスペースに使われます。復元ソフトが削除した直後の操作を推奨しているのは、このためです。

一方の上書きとは、既存のファイルが保存されているスペースに文字通り新しいファイルを上書きするので、「削除したこと」ではなく以前のファイルが完全に書き換えられます。そのため復元するとなると、削除とは全く違う次元での準備や操作が必要になります。

エクセルのバックアップは、こうした事態に備えるためのものと言っても良いでしょう。

1-2.エクセルの「元に戻す」には注意が必要

今時のPCソフトには「元に戻す」というアンドゥ機能が付いています。何か間違った操作をしたとしても1つ前の状態に戻せるので、多くの方が日常的に利用している機能だと思います。

ソフトによっては何十手順も遡ることができるのですが、エクセルの場合はデフォルト設定だと16回までと決まっています。もっと多くの回数を遡れるソフトと同じ感覚で使用していると、17回以上前に戻せないことに愕然としてしまうかも知れません。

エクセルファイルをバックアップしておけば、それよりも前の状態に戻せるようになります。

1-3.自動保存機能の便利さにひそむリスク

エクセルには、自動保存機能があります。定期的に保存をしてくれるのは良いのですが、エクセルの特性として一旦保存をするとその保存した時点より前に戻ることができなくなります。

自動保存ではなくても、自分の操作でエクセルファイルを保存した後で「元に戻す」の操作をしようとしてもメニュー部分が無効になっていて無効になっていることで途方に暮れてしまった方も多いのではないでしょうか。

自動保存は便利な機能ですが、意図しないタイミングでの保存によって元に戻せなくなるのはリスクでもあります。エクセルのバックアップは、この問題にも備えることができます。

1-4.自動バックアップ機能を活用する

エクセルのバックアップを手動で行うのは手間が掛かるのと、ついつい忘れてしまうリスクがあるので、この操作を自動化しておきたいところです。エクセルにはそのための自動バックアップ機能があり、ファイルを保存する際に1つ前の状態のバックアップファイルを自動的に保存することができます。

この設定をオンにしておくと、常に最新のファイルと1つ前のファイルが保存されているので、誤操作による上書きをしてしまったとしてもすぐに復元ができます。

2.エクセルの自動バックアップ機能の設定方法

2-1.自動バックアップ機能の設定手順

エクセルの自動バックアップ機能をオンにする設定は、ファイル保存時に行います。この操作はエクセルの各バージョンで共通です。

エクセルでファイルを保存する画面が開いたら、右下にある「ツール」をクリックします。

次に「全般オプション」をクリックして、以下のウインドウを開きます。

ここで「バックアップファイルを作成する」のチェックボックスをクリックしてチェックを入れて、OKをクリックします。

これで、以後の上書き保存時には必ずバックアップファイルが自動的に保存されるようになります。

例えば、以下のように間違えて一部を消去してしまった状態で上書き保存してしまったとしても…

このようにバックアップファイルが保存されているので…

元の状態のファイルを復元することができます。

2-2.自動バックアップされたファイルの保存場所

エクセルの自動バックアップ機能で保存されるバックアップファイルは、本体となる使用中のファイルと同じ場所に保存されます。

先ほどの例でも、本体ファイルと同じ階層に「~のバックアップ」というファイルが保存されているのが分かります。バックアップされたファイルを探したい場合は、本体ファイルと同じ階層を探して下さい。ファイルがたくさんあるフォルダの場合は、本体ファイルと同じ名前に「~のバックアップ」という文言が追加されたファイル名になっているので、ファイルを検索したり、名前順に並べることですぐに見つかります。

2-3.xlkファイルとは

拡張子表示すると、バックアップファイルはエクセルの標準である「.xls」や「.xlsx」ではなく、「.xlk」という拡張であることが分かります。これはエクセルのバックアップファイルであることを示すもので、このままではエクセルファイルとして使用できません。

拡張子をエクセルのものに変えるだけで使用できるというものではないので、次の項で解説する手順で開き、エクセルファイルとして保存してください。

2-4.バックアップファイルの復元方法

自動保存された.xlkファイルをダブルクリックして開こうとすると、以下のようなエラーメッセージが表示されます。

ここでは「はい」をクリックして、先に進みます。

すると1つ前の状態でバックアップされたファイルが開きますが、ここで注意したいのはファイル名です。

エクセル画面の一番上を見ると、ファイル名がバックアップファイルのままになっています。これだとバックアップファイルのままなので、ここで「ファイル」→「名前を付けて保存」の順に操作をして任意のファイル名(これまで編集していた名前ではなく新しい名前にしてください)でエクセルファイルとして保存し直してください。

ここでは、「テスト保存」という名前で保存します。

すると、以下のように3つのファイルが保存されています。

「テスト保存」は今回新たに保存したファイルなので、それ以外のファイルが不要であれば削除しても構いません。

2-5.復元したエクセルファイルは、再び自動バックアップ設定しておこう

バックアップファイルから復元したエクセルファイルは、通常そのまま自動バックアップ設定が残っています。そのため以後もバックアップのことを意識することなく作業を続けても構いませんが、念のために保存時に自動バックアップが有効になっているかをチェックすることをおすすめします。

最初に一度だけ確認すれば良いので、ちょっとした手間を惜しむことなく大切なファイルを守るようにしましょう。

保存時に「ツール」→「全般オプション」の順に遷移してバックアップファイルを作成するという項目にチェックが入っていることを確認すればOKです。

2-6.Office Online版エクセルの自動バックアップ機能の設定、復元方法

オンライン上で利用できるOffice Onlineは、オンラインストレージ上にあるファイルをネット上で操作するOffice系サービスです。これにはエクセルオンラインも含まれているので、オンライン上のエクセルファイルをブラウザから操作することができます。

オンラインストレージには履歴機能があるので、以前のバージョンに戻ることでバックアップファイルから前の状態に復元することができます。

・OneDriveの場合

OneDrive上のエクセルファイルを編集していて、以前のバージョンに戻るにはOneDriveのバージョン履歴を使用します。

ブラウザからOneDriveを開き、対象のエクセルファイルを右クリックして「バージョン履歴」をクリックします。

現在のバージョンから始まって、過去に保存したことのあるバージョンが左に表示されます。

現在のバージョンでは一部のセルを削除してしまった状態ですが、ここで「以前のバージョン」の下にある日付をクリックします。

すると過去の保存履歴が復元され、セルを削除してしまう前の状態に戻ります。

この状態で編集を再開すれば、以後は自動的に最新バージョンとして保存されます。

・Dropboxの場合

Dropboxのバージョン履歴機能は、Dropbox管理画面から操作します。対象となるエクセルファイルを右クリックして、「以前のバージョン」をクリックします。

するとこれまでに保存されてきた履歴が表示されます。最新のファイルは間違った編集をしたものなので、以前のバージョンを選択して「復元」をクリックします。

2-7.Mac版エクセルの自動バックアップ設定、復元方法

2-7-1.Mac版エクセルの自動バックアップ機能

Mac版のエクセルには自動保存機能があるため、その機能によってファイルが定期的に保存されています。デフォルト状態では10分間隔で自動的に保存されるようになっていますが、この間隔は設定によって変えることができます。

<自動バックアップ設定方法>

1.Excelメニューの「環境設定」をクリック。

2.共有とプライバシーの保存ボタンをクリック。

3.「次の間隔で回復用データの自動保存を行う」のチェックボックスをオンにした上で、バックアップを保存する間隔を分単位で入力。

この設定が有効になっているとエクセルファイルは自動的にバックアップされるため、ファイルを復元したい時はこのバックアップファイルを開けばOKです。

2-7-2.バックアップファイルの探し方

Mac版エクセルが自動的に保存しているバックアップファイルは、以下の階層にあります。(Officeのバージョンによって名前は変更される可能性があります)

「ユーザー→ユーザー名→ライブラリ→Application Support→ Microsoft/Office→Office 2011 AutoRecovery」

この中にあるファイルがバックアップファイルなので、これを開けば復元されます。

3.エクセルの自動バックアップ機能の解除方法

3-1.自動バックアップの解除手順

自動バックアップ機能は便利ですが、毎回.xlkファイルが自動的に作成されるので、それが煩わしいと感じる人もいます。この設定を解除するには、保存時に「ツール」ボタンをクリックして全般オプションを開き、「バックアップファイルを作成する」のチェックを外します。

3-2.バックアップ設定を解除したら注意したいこと

バックアップ設定を解除すると、その後は自動的にバックアップファイルが作成されることはありません。誤操作による上書きでファイルを復元することはできなくなるので、OneDriveやDropbox上にファイルを保存してバージョン履歴を使うなど、何か他の方法で復元できるようにしておくことを強くおすすめします。

4.まとめ

業務上で重要なファイルを取り扱うことが多いエクセルでは、誤操作による削除や上書きが重大な結果を招くことがあります。そのため誤操作をしたとしてもファイルを復元できるようにしておくのは、今やエクセルを利用する上で大切なリスク管理です。

エクセルに標準装備されている自動バックアップ機能を利用するのも有効ですし、オンラインストレージを使ったファイル復元も有効です。この記事ではこれらの方法を解説しているので、万が一の事態に慌てないようエクセルの利用環境に合わせた準備をしっかりとしておいてください。

※記事内容の利用実施は、ご自身の責任のもとご判断いただくようお願い致します。

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