携帯・スマホの電磁波が身体に与える影響とその対策
何かと取り沙汰されることの多いスマホの電磁波と身体への影響について解説します。まだ明確な影響が証明されていないものの、今の段階で注意しておきたいこともお伝えします。
スマホが登場してから怒涛の勢いで社会に普及していき、今ではこれがなくては私たちの生活が成り立たないまでの存在になりました。そのため、私達はスマホを常に身につけているといっても良い状態になっていますが、スマホも電子機器の1つであり、電子機器から発せられる電磁波が健康に対して悪影響を与えるのではないかと心配する声もあがっています。
もし本当にスマホから有害な電磁波が出ているとしたら、私達は通話をすることで電磁波を直に顔に浴びたり、持っていることで常に電磁波の影響を受けていることになります。
「常に電磁波を浴びているとしたら、身体にどのような影響があるのか知りたい」
こういった疑問にお答えするために、スマホから有害な電磁波が出ているとしたら具体的にどのような影響があるのか、もし悪影響があるとしたらどういった注意をすれば良いのか紐解いていきます。
1.スマホと電磁波の関係についての基本的な疑問
スマホから発生する電磁波を懸念する声がありますが、そもそもスマホから電磁波は発生しているのでしょうか?イメージだけで不安に思う気持ちを増大させてしまわないためにも、最初にスマホと電磁波に関する基本的な疑問について整理していきましょう。
1-1.そもそも、電磁波とは?
みなさんは、電磁波というと何を想像するでしょうか?このような質問を投げかけられた多くの人は、電子レンジを想定されるのではないかと思います。
電磁波とは電気が流れるところに発生するエネルギー波のことであり、総務省の定義によると、3THz以下の周波数で発せられる電磁波のことを電波と呼んでいます。
100kHz以下の低周波で強い電波を浴びると体内に電流が発生し、刺激を感じることから、低周波治療器にも応用されています。
一方で、100kHz以上の高周波で強い電波を浴びると体温が上昇するといわれています。携帯電話の電波はこの高周波に属しているため、強い電波を浴びると体温上昇などの影響があることが分かっています。
ただし携帯電話の電波はそこまで強いものではなく、実際に体温上昇が感じ取れるほどの影響は出ていないと考えられます。従って、電磁波による人体への影響を示す根拠がないという見解が一般的な認識となっています。
1-2.スマホからは電磁波が出ている?
スマホが電波を使っている以上、電磁波は出ているといえます。これはスマホだけでなく、ガラケー(フューチャーフォン)に対しても同じことがいえます。
1-3.スマホの電磁波を浴び続けるとガンになる?
電磁波は電磁放射線であるため、放射線を浴び続けることによる健康被害としてガンとの因果関係を指摘するレポートがあり、3000THz以上の超高周波だと電離作用が働いて発がん性があるという指摘もあります。ただしスマホは常に利用する電子機器であり、そのようなものから明確に健康を害するほどの電磁波が出ているとは考えにくいともいえます。
1-4.スマホの電磁波が引き起こすとされている健康への影響
スマホから発せられる電磁波が引き起こすとされている健康への影響は、睡眠障害や頭痛の他に、倦怠感や吐き気、肩こりなどが挙げられています。また、アトピーの原因になるのではないかという意見もあり、不妊や胎児への影響などを懸念する声もあります。
1-5.電磁波だけではない、スマホの影響
スマホから発せられているのは、電磁波だけではありません。スマホの画面から発せられているブルーライトは非常に強い光であり、目や睡眠に影響を及ぼすことで知られています。
ブルーライトが一概に悪いものとはいえないのですが、スマホの普及によりこの光に常に接するような生活に変化したせいで、目の疲れや、うつなどといった自律神経失調を引き起こす因果関係が指摘されています。
また、食事中でもどんな時でもスマホを見ていないと落ち着かない、スマホが手元にないと不安で仕方がないなどといった、スマホ中毒などの精神的依存を引き起こす恐れもあります。
1-6.結局のところ、スマホの電磁波は体に悪いのか?
スマホの電磁波による健康被害については各方面から指摘がされていますが、2020年末の時点でまだ明確な証拠や科学的根拠があるわけではありません。
総務省の「電波の生体影響に関する最新動向」というレポートでも、電磁波の健康影響について脳や中枢神経系への影響や発がん性など、様々な角度で検証がされてはいますが、明らかに影響があるという立証はされていません。今後は因果関係がさらに証明されていくと思われますが、その時には何らかの影響があると結論づけられる可能性はあります。
⇒電波の生体影響に関する最新動向 (リンク先はPDF)
2.スマホの電磁波で特に注意するべき人とは
スマホの電磁波が原因で健康被害が起こっていると明らかにいえるような事例は今のところありませんが、実際に電磁波の影響に注意しなければいけない人はいます。それはどういった人達なのでしょうか?
2-1.心臓のペースメーカーを装着している人
スマホの電磁波を特に注意するべき人としてまず挙げられるのは、ペースメーカーを装着している人です。ペースメーカーは利用者の生命線であるため、電磁波の影響で何らかの不具合を起こしてはいけません。このことが電車やバスなどの公共機関で、特に優先座席付近で携帯電話利用を控えるようにいわれている理由の1つでもあります。
ただし医療機器メーカーは、スマホなど電磁波を発するものから15cm以上離してくださいとアナウンスしており、それ以上離していれば影響はないとされています。実際の実験では3cmくらいでしか影響がなく、余裕をもって15cmとしているようです。従って、ペースメーカーなどの医療機器を利用している人は、そうでない人よりも電磁波に対して注意を払う必要がありますが、そこまで異常接近することがなければそこまで神経質になる必要はないと考えて良いでしょう。
2-2.赤ちゃんや幼い子供
一般的に赤ちゃんや幼い子供は大人と比べて過敏であり、電磁波が何かしらの影響を及ぼす可能性が大人と比べて高いことは否定できません。
ただ、電磁波によって悪影響を受けた乳児や幼児の公的事例があるわけではないので、過度にスマホに触れさせる時間を増やさなければ電磁波による影響は問題無いレベルだと思われます。
2-3.妊娠している人
妊娠している人に対するスマホの電磁波の影響は明確な科学的根拠はありませんが、WHO(世界保健機関)が注意喚起を行っているようです。このことから、何らかの影響があると考えて注意するに越したことはありません。赤ちゃんに悪い影響が及ばないように、妊娠している人はスマホをお腹に長い時間密着させるような事は避けたほうが良いかもしれません。
3.スマホの電磁波による影響を抑える利用方法
スマホの電磁波による健康被害が明確に立証されていないからといって、健康被害が全くないわけではありません。むしろ、研究が進んで健康被害があると明確になってから対策をしても遅いとなってしまう可能性もゼロではありません。したがって、今のうちからスマホの電磁波の影響を抑える方が賢明ともいえます。この章では、スマホの電磁波の影響を抑える効果がある利用方法について解説します。
3-1.通話は耳に当てるのではなくヘッドホンやハンズフリーを利用する
身体の一部分に集中的に電磁波を当てるのは良くないと考えられるため、通話の際はスマホを直に耳に当てるよりも、ヘッドホンやハンズフリーを利用する方が良いといえます。
3-2.睡眠時の枕元など近くに長時間置かない
枕元にスマホを置いて目覚ましのアラーム設定をしている方も多くいらっしゃることと思います。寝る直前までスマホを見ることができますし、アラームも使えて実際に便利かと思いますが、通話する時のように密着していないとはいえ、電磁波を発するスマホが長時間頭部の近くにあるのは懸念と言えるかもしれません。
3-3.電磁波をカットできる商品を利用する
現在は電磁波による明確な影響の研究結果がないため、電磁波をカットできるとしている対策グッズも、本当に健康に対して効果があるかどうかはあいまいなものが多いのが現状です。念の為というレベルで使用しても良いかもしれませんが過信は禁物です。
3-4.スマホ以外にも注意したい電磁波発生機器
スマホは普及が進んでいるだけにスマホからの電磁波がより注目されていますが、私達の身の周りにはスマホ以外にも電磁波を発している電子機器で溢れています。
電磁波発生機器として電子レンジが有名ですが、その他にもIHクッキングヒーターや電気毛布、電気カーペットや電気こたつ、その他にもパソコンやドライヤー、電気シェーバーなどがあります。
以上に挙げた電磁波発生機器はほんの一例であり、スマホが登場する前から私達の生活で利用しているものばかりです。電磁波と私達の生活は切っても切り離せない関係であるため、接触を断つのはほぼ不可能に等しいですが、気になる場合は使用していないものは電源を切るか片づけるなど、電磁波との接触の機会を可能な限り抑える心掛けが必要です。
4.まとめ
スマホの電磁波を含め、多くの電子機器から発せられている電磁波が私達の健康にどのような影響を及ぼすのか、明確なことはまだ分かっていません。しかし、分かっていないということは安全であるということではありません。
過剰に危険視していては日常生活に溶け込んでいる電子機器が使えなくなるため、生活支障をきたす事になりますが、WHOや各方面から健康被害に対する懸念が示されていることから、電磁波の正しい知識を身につけて、スマホを始めとする電子機器との正しい付き合い方を知ることは、長期的に健康を守る上で有効だといえるでしょう。
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